・質問  東京に勤務する社員が、香港の取引先と「翌週月曜日の朝9時に打ち合わせをする」との約束をしたため、日曜のうちに顧客のいる香港まで移動して前泊したうえで、顧客の元を訪ねましたが、この場合香港までの移動は、労働時間と認められるのでしょうか?
・回答
  原則として労働時間にあたりません。但し、移動を兼ねて物の運搬や管理等を行ったときは労働時間にあたる場合もあります。 本件のように休日に移動した場合には、その移動時間についても休日割増賃金(休日手当)をもらいたい、と思われる方も多いのではないかと思います。 では、出張のための移動時間はなぜ労働時間ではないのでしょうか? 出張のための移動時間についても、法的には「労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるかどうか」という基準によって、労働時間にあたるか否かが判断されます。
 確かに、出張のための移動は会社の指示に基づくものですし、移動中は飛行機等に乗っていなければならず、行動の自由は制約されます。 然し、東京地裁平成24年7月27日の判決では、「何か果たすべき別段の用務を命じられるなど、具体的な労務に従事して」いない単なる移動時間については、労働時間にあたらないと判断しています。
 厚労省の通達も、休日に出張のため移動した場合であっても「移動中における物品の監視等別段の指示がある場合の外は休日労働として取り扱わなくても差支えない」としています(昭和33年2月13日基溌90号)。
 以上の通り、休日に出張先へ移動しても、その移動時間は原則として労働時間にあたりませんが、移動時間に業務に用いる物品の運搬・監視等の業務を行った場合には労働時間にあたると法的には解釈されます。
 出張中に労務を行った場合は、その証拠として業務日誌や会社の備品の管理簿の記載等が考えられます。また、出張時に、何時から何時までが休憩時間や移動時間で、何時から何時までが労働時間なのか、正確に把握して算定することが困難となる場合は、「事業場外のみなし労働時間制」を適用して、所定労働時間働いたものとみなすことができます。但し、上司が同行して労働時間を把握・管理できる場合などは事業場外のみなし労働時間制を適用できません。なお、事業場外のみなし労働時間制を適用するには就業規則等に規定しておくことが必要です。



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