・質問  私は、入社間もない営業担当の社員ですが、社長が「集中力を高めるために 1週間の山ごもり研修を実施する」と出席を求めてきました。研修内容は業務と関連が薄いようなのですが、従わなければならないのでしょうか?
・回答   会社と社員との間で労働契約が結ばれると、会社は就業規則などに基づいて、社員に業務命令を出すことも可能となります。
 問題は、会社が命じることのできる範囲がどの程度まで許されるか、ということにあります。
 会社の業務命令が適法と判断されるためには、「命令と業務との間に合理的な関連性があり、正当な目的や理由があること」が必要です。よって、「山ごもり研修」が適法か否かはその内容次第となります。終日、座禅を組んだり山を歩いたりと、業務とは直接関係のないメニューばかりの場合、集中力を高める研修と銘打っていても業務命令としての適法性を欠くとみられることもあるでしょう。  
 「体力強化や集中力を高めることは仕事にプラスになるから」といって、業務とは直接関係のない運動や精神修養などのメニューを社員研修の中に組み入れる企業はあるでしょう。心身に過度の苦痛を与えるのは論外となりますが、研修内容について企業側の一定の裁量権は認められます。業務とは直接関係のないメニューも、1日の研修のうち1〜2時間程度であれば、違法性が問題になることはないだろうと考えられます。
 研修への不参加が懲戒処分の対象となるか否かについては、研修内容が適法なものであれば、「業務命令に従わなかった」として可能な場合もあり得るとされています。命令に従わないことが度重なれば、解雇に至るケースもあるでしょう。 ポイントは以下の2点です。
@研修には、業務との間に合理的な関連性や正当な目的・理由が必要。
A研修内容が適法であれば、参加を拒否した社員の懲戒処分も可能。
 それでは、入社前の内定者が事前研修を課された場合、断ることは可能なのでしょうか。
 会社と内定者はまだ労働契約を結んでおらず、会社が業務命令を出す権利はないとされ、研修に参加させるには同意が必要とされます。また、学業に支障が出る場合などは、内定者は事前研修を断ることができ、その場合に、会社が内定取り消しなどの不利益な取扱いをするのは違法とされています。



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