No.76 「退職後不正発覚した時の処置」
 
 みなさん、こんにちは!

 靖国道路の桜は、花を散らせて葉桜となり、散っていった花びらは道路をピンク色に染めていましたが、そのピンクの花びらも今はすっかりと片付けられてしまいました。 枝に一杯の花を着けて咲き誇っていた桜も、そんな短い盛りの時期を終えると次々と花を落とし、散らせて行きます。

 そんな散りどきに桜並木を歩くと 役目を終えた桜がヒラリヒラリと身体の上に舞い降りて、歩く私の頭や服を ピンク色の斑点で色取っていきます。
 まるで、"来年また会いましょう!"とでも言うように! 桜は観て美しいだけでなくその散り際の潔さも古くから愛されてきました。桜に感じる魅力を「一斉に咲き、一斉に散るところにある」と言う人もいます。
 「同期の桜」の連帯感とハラハラと散る切なさ、一晩の嵐に散る「散り際の良さ」が日本人の心情にたまらないのかもしれません。

 桜は、やはり日本人の文化と心に宿す花なのでしょう。
 「春のうららの・・・」で始まるメロディーを聞くと、誰しも幼き日の思い出が蘇り、浮世の辛さも束の間消え失せるのではないでしょうか。

 そして、桜のこの時期はまた「別れと出会い」の人生の岐路を色取り、 多くの涙と多くの出会いに感動する時期でもあります。     

 「思い出す、様々のことさくらかな」  芭蕉

 大震災の地にも桜はいつも通りに咲いたとのことです。余りにも突然に、余りにも理不尽な被害を受けた方々の目にも桜の花はほんの少しの安らぎと ほのかな希望の火を灯したかもしれません。
 それにしてもある日突然に襲い掛かった今回の大震災の惨状を見るにつけ、先行きへの不安が募ります。「来年の桜の頃は、"日本は、東北は、私のオフィスは、そして私自身はどうなっているんだろうか?"、"相変らず元気で桜を見ているんだろうか?"」という思いがボンヤリと頭の中をよぎったりもします。  
 つい先日の夜も、かなり大きな余震がありました。そのとき私はすでに寝ていたのですが、慌てて飛び起きテレビをつけて地震情報を食い入るように見つめたものでした。幸いにそのときの地震騒ぎはまもなく落着きましたが、地震が治まった後も、"また来るんじゃないか"との地震再来への恐怖からとうとうその夜は二度と再び寝入ることはできませんでした。
 東日本大震災後の余震がまだまだ続いています。毎日まいにち、このように地震で揺さぶられていると地震がないときも身体が揺さぶられるような感じがしてきます。生まれてから初めての経験に身体もきっとビックリしているのでしょう。

 さて、 前回の「家族手当の支給要件」についての話、如何でしたでしょうか。
 今回は、「退職後不正発覚した時の処置」についての話をします。



――――――――――◆ 目 次 ◆――――――――――――――
○「退職後不正発覚した時の処置」
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 就業規則で、懲戒解雇の場合は「退職金不支給」としている会社で、既に退職し、退職金も支給済であった社員の不正(売上金着服)が退職後発覚した場合、改めて懲戒事由を適用し,退職金の返還を求めることは可能かとの問合せがありました。

 法律的には次の通り、考えられます。

 退職金制度を有する企業では,懲戒解雇の場合に退職金の支給制限規定を設けているのが通常です。ただ,「解雇」ですから,この規定はその従業員が在職している状態を前提にしています。就業規則に特段の定めがなければ,「退職」によってすでに当該企業との雇用関係がなくなっている者に就業規則の適用はあり得ませんので,退職後に発覚した不正に対して,遡及して「懲戒解雇に該当していたから,自己都合退職を取り消して懲戒解雇とする」ということはできません。

 では,自己都合退職が受理され退職日を経過して,退職金支給までの間に懲戒解雇相当事由が発覚した場合はどうでしょうか。

 実務上はともかく,このようなケースでもすでに退職によって雇用関係は終了していますので,懲戒解雇の措置がとられなかった者に「懲戒解雇に相当する」として,規定外の処分で対応することはできません。争うのであれば訴訟ということになるでしょう。

 在職時であれば当然に懲戒解雇に該当する不正行為が退職後に発覚した場合に,退職金の全部または一部を不支給とし,支給済みの場合に返還を求めるためには,就業規則(「退職金規程」)にその旨を規定しておくことが第一です。

 上記で「規定外の」と述べた部分は,実際の裁判例です。つまり「会社の就業規則に,懲戒された者に退職金を支給しないとの規定はあるが,懲戒解雇に相当する事由がある者(退職者)には退職金を支給しないとの規定はない」という理由で,退職者への不支給が認められなかったのです。
 ただ,だからといって,社会通念上あるいは公序良俗の観点から,「どう見ても退職金不支給は当然だ」といった事案についても就業規則に規定がないからといって支払命令が出されるかといえばそうではなく,情状により「退職金の請求が権利の濫用である」と判断されることもあるのです。

 以上を踏まえて,懲戒解雇および懲戒解雇相当の者に対する支給制限や,支給済分の返還を就業規則に明文化する際,また実際の運用の際は、どのような点に気をつければよいのでしょうか?

 ポイントは、「給付制限の内容の吟味」となります。つまり、「不支給ないし減額措置の対象となる事案が,社会通念上相当であると認められる内容であること」が重要だということです。これは,「とにかく懲戒解雇であれば不支給」ということではなく,勤続年数や在職中の貢献度をすべて帳消しにするほど悪質な規則違反であるのか,不支給や減額とのバランスが合理的かどうかに十分配慮するということです。 具体的な規定の仕方などについて、更に詳細を知りたいとのご意向がある場合は、当方までお問合せ下さい。

今回は、ここまでです。



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