No.74 「賃金債権譲渡社員への対応」
 
 みなさん、こんにちは!


 昨日は、家での晩酌を少しやり過ぎました。

 その為、今日は少々二日酔い気味となり、朦朧としながら仕事をする羽目となってしまいました。
  然し、その朦朧とした頭の中を、一向に改善しない中小企業の厳しい経営環境と先行きに対する不安が、浮んでは消え、消えては浮んで、まるでトゲのようにチクチクと刺してきます。
 好業績が伝えられる海外へ進出した一部の大企業に対して、海外に出たくても出られない多くの中小企業の苦境はまだまだ続いています。私どもの取引先でもリストラを続けざるをえない会社も少なくありません。雇用調整など誰もやりたくないものですから、それに踏み切らざるを得ないとき、経営者は夜も寝られない毎日を過ごすのだろうと思います。

 こんな川柳があるそうです。
「浴びるほど飲んでも忘れぬ貸した金」。
 これに対して、
「浴びるほど飲んでも忘れぬ借りた金」というのもあるんだそうです。

 でも、今は「金を貸すとか借りる」とかのレベルではなく、「働く」という「生活の糧とか心の支え」さえ奪ってしまうような辛い世の中となってしまいました。
 一緒に働いていた仲間の職を奪う辛さは、金の貸し借りのレベルでは較べようがないことでしょう。

「浴びるほど飲んでも忘れぬ社員の顔」(某社社長)。

 会社の人員整理の対象にならず、会社一筋に何とか定年まで勤め上げたサラリーマンも定年退職後は、バラ色の人生が待っててくれるわけでもないようです。定年退職した後、全く仕事に就かなくなった人の1/3程度はアルコール依存症になってしまうとの調査結果が報じられています。定年後、毎日、家にいるようになっても奥さんはパートに出て不在だし、子供は独立して不在で、家には一人で残されてしまいます。何か趣味でもあればよいのですが、生憎、「現役時代は、企業戦士と言われ仕事しごとの毎日を過ごし、仕事以外に打ち込む趣味もない」とすると、会社に行かない毎日を、本当にどう過ごすかが悩みの種となるようです。 そしてそんなときに、気軽に飲めて、酔えば酔うほどに憂さを晴らしてくれて、浮世を忘れさせてくれる酒に救いを求めるようです。

 ある日見ていたテレビ番組の画面の中では、初老の人が、"毎日、朝起きてもすることがなく、話し相手もいない。だから気がつくと、毎日まいにち、1時間おきに酒を飲んでは酔い、酔いつぶれては寝るという日を繰り返している"と語っていました。現役のときは仕事に神経をすり減らし、めでたく定年退職したら、毎日することが無くて神経をすり減らし、挙げ句の果てには「アルコール依存症」になってしまうとしたら、なんとも寂しい企業戦士の人生ではありませんか!

 さて、 前回の「適格年金解約時の注意点」についての話、如何でしたでしょうか。
 今回は、「賃金債権譲渡社員への対応」についての話をします。




――――――――――◆ 目 次 ◆――――――――――――――
○「賃金債権譲渡社員への対応」
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個人的に消費者金融から借金をしていた社員が、返済が滞ったことから3カ月程度の自己の賃金債権を譲渡したらしく、消費者金融から会社に債権(賃金)の支払いを求める電話がかかってくるようになった――。

 社員が消費者金融に賃金債権を譲渡したとはいえ、労働基準法には「賃金は、直接労働者に支払わなければならない」という直接払いの原則があります。このようなケースでは、どのように対応したらよいのでしょうか。

 社会保険関係の法律では、一般に保険給付の受給権の譲渡を禁止しており、また、労働基準法では、労働者が使用者に対して有する災害補償を受ける権利については譲渡を禁止しています。しかし、賃金については特に規定はありません。したがって、賃金に関しては、譲渡は可能とも考えられます。
 しかし、使用者に対し立場の弱い労働者を保護するため、労働基準法では賃金の支払いに関する「直接払いの原則」が定められています。
 過去の裁判等では、たとえ債権譲渡をしたとしても労働基準法の直接払いの原則を優先するとする裁判例が多く(電電公社小倉電話局事件:最判昭43.3.12等)、賃金を金融業者に支払うことはできないと考えるのが一般的です。
 ただし、民事執行手続により裁判所が差押えを命じた場合は、雇用主は差押命令に応じなければなりません。これは一見、直接払いの原則に反するようにも見えますが法的には問題ありません。
 借金返済が滞った場合だけでなく、国や地方への税金の滞納の場合も同様です。

 しかし、給与全額を差し押さえられてしまうと、その社員は生活できません。このため、債務者保護の観点から、差押金額は原則、賃金から所得税・地方税・社会保険料等を控除した手取り賃金額をベースに、賃金の4分の1までとされています。然し、政令では、標準的な家庭に必要な生活費として33万円を想定し、33万円が4分の3に相当する44万円で線引きをし、手取り額が44万円を超えていれば、33万円を残してそれ以上の部分はすべて差し押さえられるとしています。従って、標準的な世帯所得を超える高給をもらう人については、政令で定める額を超える部分の全額を差し押さえることも可能なようです。

 企業としては、このような賃金債権譲渡問題については、法律に基づく強制執行手続の場合を除き、やはり生活者(労働者)保護の精神を念頭に置いて、労働法規に則り慎重に対応することが肝要です。

今回は、ここまでです。



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