No.72 「年休の前借」
 
 みなさん、こんにちは!

 あと1週間ほどで平成22年は終わり、23年に代わります。

 今のこの時期は、年の瀬の忙しさも中盤を過ぎ,追い込みに入っているときかもしれません。 その年末の忙しさが終ったあと、年末から年始に掛けては、里帰りや旅行にと外出をする方も多いことだろうと思います。

 都会の片隅でひっそりと暮らしている私はといえば、そんな世間の動きを横目で眺めつつ、ひっそりと家庭での静かなときを過ごすつもりです。
 この1年を振り返ると,世の隅でひっそりと暮らしている私にも喜怒哀楽の種がアチコチから湧きあがってきました。その都度、それから逃げることもせず、先延ばしにすることもせず、真正面から引き受け、受け入れてきましたが、その結果、こうして"ほどほど"に落ち着いた気持ちで「年の瀬」を迎えられたことに、まずは感謝しています。
 この1年、様々な喜怒哀楽の種がまいにち毎日湧き出てきました。 然し、どんな事が湧きあがろうと慌てず焦らず"こんなもんだろう"とありのままに、欲張らないようにと心がけて受け入れて来ました。そのためか、1年経った今は、後悔もそれほど深くはありませんし、喜びも踏み外すほどではありません。 こんな「"ほどほど"で感謝の気持ち」は、見方によっては、活力の不足と見られるかもしれませんが、見方を変えれば「年の功」なのかもしれません。
 人の世のあれこれには,どこかに年始めの福袋を買うときと同じ「運任せの部分」があります。「運任せ」とは頼りないことですが,そこに救いもあります。 「すべてが自分の責任ではない」ということです。良い結果が出なかったときに,何がいけなかったかと自分を責めることがありますが,「運任せである」と考えればそれほど悩まなくて済みます。 「運が悪い」というのはしゃくではありますが,神様のせいにできるところが助かります。そして「運の悪さ」に暫く耐えていれば、その内に、「良い運」が必ず巡ってきます。だから今年「運が悪かった」ら、来年は必ず「良い運」が巡ってくるはずです。
 この「メルマガ」をお読みいただいている皆様方が、「楽しい年越し」と、「良い運」に恵まれた素敵な新年をお迎えになるよう心よりお祈りしております。

 さて、 前回の「海外派遣者への労災適用」についての話、如何でしたでしょうか。
 今回は、「年休の前借」についての話をします。


――――――――――◆ 目 次 ◆――――――――――――――
○「年休の前借」
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 ある顧問先から、「未だ入社後3ヶ月しか経っていない新入社員から、どうしても出席したい親戚の法事があるので、今後付与される有給休暇を1日前借したいとの申出があったけれど、どう考えたらよいのか」との質問を受けました。
 この有休の前借については、実務上はよくあるケースですが、次の通りに考えられます。
(1)年休の前借は権利ではありません  
年休の前借について、行政解釈でも、使用者が継続6ヵ月間の期間満了前に、労働者に対し年次有給休暇を与えることは、何ら差支えない、とされています(昭26.6.29基発355)が、従業員の権利としては認められていません。
(2)前借分を翌年の日数から引かれる際に注意
しかし、現実に前借りして休暇を取ったとしても、企業は、前貸した有給休暇を期間の経過により当然に発生する法定の年休日数から差し引くことは、当該年度中に労働者からの請求ある限り最低限労基法所定の年休日数を与えるべきであるとする労基法39条1項、2項に違反すると考えられ、できません。つまり、法定年休については、前年の前借分を理由として当年の年休の請求を拒むことはできないということです。但し、前借分が、労基法の定める最低基準を超えて与えられる法定外年休についてであれば、前借分を翌年の法定外年休から控除して、翌年の法定外年休を減らしても、それは契約自由の範囲内のことであり労基法に牴触することにはならないと解されています。
(3)年休前借直後に退職した場合には
さて、年休の前借をした従業員が、法定外年休の発生する条件を満たす前に辞めた場合にはどうなるでしょうか。この場合、前借の年休を貰った時に、年休請求権の発生前に辞めた場合には、前借分を欠勤として精算する旨の約束でもしていなければ、賃金の減額をされることはありません。もし、そのような約束をしていた場合には、この精算については労基法24条1項の全額払の原則との関係が問題となりますが、前借の年休取得日と退職による精算日が数カ月以内で近い場合には、判例では前払賃金の清算(調整的相殺の問題)との考え方から認められているケースもあります。

今回は、ここまでです。



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