No.50 内定取り消し
 
 みなさん、こんにちは!

 今日(1月9日)は、雪混じりの冷たい雨が降るとても寒い日です。

 こんな天気に相応しく世情も冷え冷えとしています。
 日本も世界同時不況の津波に激しく揺さぶられ、経済は悪化の一途を辿って います。こんな異常時にこそ、出番が期待される政治は統治不能の様を晒しています。
 突然、予知困難な不況津波に襲われた企業や労働者は、それぞれが独力での対応を迫られています。
 マスコミは、派遣切りに合った「気の毒な労働者と横暴な企業」の様子をウンザリするほど毎日報じています。
 そんな中、生残るため、毎日必死で駆けずり回っている事業主には、「雇用を守れ」と云う言葉が大きな圧力としてのしかかってきています。 経営者が自社の「雇用を守る」ということは、当たり前のことです。 経営者であれば、誰しも一緒に汗水流して戦ってきた戦友(従業員)の首など切りたくはありません。でも、従業員にしてもらう仕事が無くなってしまったら、企業の生残りと従業員の整理の二者択一を迫られてしまいます。
 こんな環境の中では、事業主の「雇用を守る」努力と並行して、労働者個人の精進とか努力とかもとても重要なんじゃないかと思っています。 「雇用を守る」ための仕事を確保する上で、他社に無い技術等を身につけていくために、またどうしても事業主が「雇用を守れなく」なったときに、自ら 新天地を切り開いて行くために、従業員の自己精進はとても大切だからです。
 こんな競争社会に住む以上、自分の現在とか未来とかを他人任せにはできません。「天は自ら助ける者を助ける」社会だからです。

 さて、 前回の「成績不振を理由とする解雇」についての話、如何でしたでしょうか。

 今回は、「内定取り消し」についての話をします。




――――――――――◆ 目 次 ◆――――――――――――――
○「内定取り消し」
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 景気の急激な落込みにより、来春採用内定の学生に対する内定取消措置に及ぶ企業が続出し、大きな社会問題にもなっています。

 そもそも内定の法的な取扱いは、会社が新卒学生に対して採用する旨の通知を行い、それに対して内定者が誓約書等を提出した時点で労働契約は成立すると考えられています。
 ただし、新卒学生については学校を卒業するという条件や入社日の到来という始期が付いていることから、最高裁は採用内定の法的性格について、就労の始期付解約権留保付労働契約が成立したものと判断しています。
 このように採用内定によって労働契約が成立する以上、内定の取消は労働契約の解約、つまり解雇に該当し、合理的と認められる正当な理由がなければそれを行うことはできません。
 先の最高裁判決においても、採用内定の取消については、「採用内定の取消が認められるのは、内定当時知ることができず、また、知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるものに限られる」としています。
 つまり、採用内定の取り消しの効力は、採用内定の取消が合理性・相当性を有する場合のみ許されることになります。ここで、採用内定の取消が合理的と認められる正当な事由としては、以下のようなものが挙げられます。
@条件付き労働解約の場合の条件の成就または不成就:
 学校を卒業できなかった場合、入社の際に必要と定められた免許・資格が取得できなかった場合等。
A採用内定取消事由を約束している場合のその取消事由の発生:
 健康を著しく害した場合、履歴書や誓約書などに虚偽の記載がありその内容や程度が採否判断にとって重大なものである場合等。                      
Bその他の不適格事由の発生:
 犯罪行為を犯しての逮捕、起訴等。               
 それでは、今回のように企業の業績悪化による採用内定の取消しは、正当と認められる事由になるのでしょうか。
 先の最高裁判決を踏まえると、経営悪化による内定取消が有効とされるのは、経営悪化が新規採用を不可能ないし困難とするようなものであり、かつ、この経営悪化が内定当時予測できないものであった場合に限られると考えられます。世間で内定取消というニュースを多く耳にするようになると、安易にその方法を選択する企業が増加する傾向が見られますが、企業としては採用内定を取り消す前に、採用内定取消回避のための最大限の努力を尽くす必要があります。そして、実際に取り消さざるを得なくった場合においては、誠意をもって本人と話をしていくことが求められると共に、予めハローワークまたは学校の長に通知するものとされています。

今回は、ここまでです。

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