No.19 年俸制をめぐる問題
 みなさんこんにちは!
今日(8月31日)は、8月の終わり。日差しは強いですが、風は涼しく、 秋を感じますね。 月日・時間は人の感傷とは無関係に休みなく動いていきます。 "フッと気がつくと時間だけが過ぎている"そんな思いに浸るのも 最近はとみに多くなりました。 それに連れて、すべからく私たちは、段々と歳をとっていくわけです。 そして、その歳を経るあいだに、様々な人たちや様々な事柄と出会い、 笑い・悲しみ・恨み・感謝し、そして別れていくことになるのですね。 このように"何となく、感傷に浸る"というのも、秋の季節が来たからですかね!
さて、  前回の「退職金制度」についての話、如何でしたでしょうか。 今回は、退職金制度からチョッと離れて、賃金制度について話をします。
特に、最近取り入れる会社が増えている「年棒制度」について纏めてみました。
皆さんもこのメルマで、"こういった話を聞いてみたい・教えて欲しい"といったご要望がありましたら、是非ご連絡下さい。 ご質問いただいた内容については、メールマガジンを通してご回答させていただきます。 ご質問・ご意見はinfo@node-office.comからどうぞ。
――――――――――◆ 目 次 ◆――――――――――――――
○ 年俸制をめぐる問題
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  成果・業績主義の浸透とともに年俸制を導入する企業が年々増えていますが、一部では、"年俸制を導入すれば時間外手当、深夜手当などの割増賃金を支払わなくてもよい"という誤った認識を持った経営者の方もいるようです。そこで、年俸制について纏めてみました。

(1)年俸制とは
年俸制の特徴としては、以下諸点が挙げられます。
@賃金額を年単位で決定すること
Aその額を成果・業績を主たる基準として決定すること

(2)公正な評価制度
年俸制では、具体的な賃金額の決定が労働者の成果や業績の評価に大きく依存するため、その評価が公正に行われるかどうかが重要となります。
@明確で具体的な目標が設定されているか、
A目標達成評価の基準が開示され、恣意的でない評価が行われているか、
B評価理由の説明や苦情処理など労働者の納得を得るための手続きは整っているか、
 などの点が年俸制導入を成功させるカギとなります。
 ところで、こうした成果主義的な年俸制のもとでは、「業績評価の基準や評価の具体的な運用の公正性について」評価する者とされる者との間に見解の相違が生じ、労使紛争の種になる場合もあります。
 然し、法律上、労働者の成績評価は使用者の裁量に委ねられる面も多いので、個々の労働者に対する具体的な評価が違法であるとして訴訟等で争うのは難しいことが多いと思われます。それでも、組合活動や性別など法律上考慮してはならない事項を考慮した評価や、個人の感情など不当な目的に基づいてなされた評価が、権利濫用として違法となることはあり得るでしょう。
 また、前年の業績や年俸額などについて、年俸交渉を行っても合意に至らなかった場合の扱いも問題となりますが、期間の定めのない労働契約が結ばれているときには、最終的な年俸決定権は使用者に属していることが多いと思われます(期間の定めがある契約の場合は、プロ野球選手のように、更新がなされないこともありえます)。

(3)割増賃金の支払い
 ところで、年俸制がとられると、支払われる賃金は年俸額のみで、時間外割増賃金は支払われないといったイメージがあるようですが、年俸制をとったからといって、直ちに労基法上の割増賃金の規制(労働基準法上、時間外労働や休日労働にはその量に応じた割増賃金を支払うべきものとされています)が外れるわけではありません。
 労基法の"管理監督者"に該当する場合にはそもそも労働時間の規制が適用除外となりますし、"裁量労働や事業場外労働"についての「みなし時間制」が適用される場合には、「みなし」により処理される労働時間が1日8時間を超えない限りは、割増賃金は不要となりますが、それ以外の場合、割増賃金の支払いは必要です(賞与部分を含めて金額が確定している年俸制の場合は、一時金の形をとる部分についても算定基礎からの除外はされず、確定した年俸額全額を割増賃金算定の基礎とする必要が生じえます)。
 成果主義人事の実現方法として「裁量労働制」が議論される背景には、こうした事情もあるといえます。
 もっとも、割増賃金の支払が必要となり得る一般の従業員について年俸制を採用する場合には、割増賃金をとりあえず固定額で支払うという方法もあります。すなわち、従来の平均的な実績などによって計算した一定額の残業手当を支払うことにして年俸額を算定する方法です。このような割増賃金の支払方法は必ずしも違法ではありませんが、実際の労働時間によって計算した割増賃金の額が固定額による残業手当を上回る場合には、差額を支払う必要があります。また、このような扱いをする場合には、通常の労働時間に対応する賃金と、割増賃金に相当する賃金とが区別できるようになっている必要もあります。

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 今回は、ここまでです。


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